日本物理学会誌

第73巻 第1号

cover-18-01.jpg■表紙の説明
表紙は,2つの結晶層を交互に並べた層状構造化物質(ナノ構造化物質)の分子シミュレーションモデルを示す.現代では,ナノスケール(分子スケール)で物質を設計するナノテクノロジーが発展している.これによって,目的に適った物性をもつ物質の開発が可能となる.ナノ構造化の例として,異なる2つの物質を層状に並べた層状構造化が挙げられる.シリコン層とゲルマニウム層を交互に並べた構造は,その代表例である.2つの物質の組み合わせ,層の厚さ,層境界面における相互作用などを調節することによって,熱伝導率を制御できる.特に,極めて低い熱伝導率をもった層状構造化物質を設計できる.詳細は本号に掲載されている水野英如氏の「最近の研究から」記事を参照のこと.作図協力:Stefano Mossa氏(University of Grenoble in France)

■巻頭言
新年にあたって  川村 光 ...... 1

■現代物理のキーワード
スピンのダイナミクスを元素別に見る(Keyword: 時間分解XMCD)
和達大樹 ...... 4

■解 説
衝突反応における形状共鳴の系統的な見方 崎本一博 ...... 6

■最近の研究から
生体内化学反応はトポロジーで決まる  岡田 崇,望月敦史 ...... 15

超伝導人工原子と電磁場の相互作用~強結合のその先へ~
布施智子,吉原文樹,角柳孝輔,仙場浩一 ...... 21

宇宙リチウム問題の解決を目指して―原子核物理学からのアプローチ―
川畑貴裕,久保野 茂 ...... 27

低い熱伝導率の仕組み:ガラスとナノ構造化物質  水野英如 ...... 33

■物理教育は今
日本の大学物理講義にアクティブ・ラーニングは必要か―物理教育の日米中比較研究に基づいて―
土佐幸子 ...... 39

■JPSJの最近の注目論文から
9月の編集委員会より  上田和夫 ...... 44

■新著紹介 ...... 47
「軍事研究」の戦後史;科学者はどう向き合ってきたか:高岩義信
ミュオンスピン回転法;謎の粒子ミュオンが拓く物質科学:小池洋二
光誘起構造相転移;光が拓く新たな物質科学
多電子系の超高速光誘起相転移;光で見る・操る・強相関電子系の世界:石原純夫

■支部だより ...... 51