日本物理学会誌

第73巻 第11号

cover-18-11.jpg■表紙の説明
表紙は半導体2次元電子が強いRashba型スピン軌道相互作用のために,Zitterbewegung(ジグザグ運動)を生じる様子である.電子波束が全体としてx方向に運動し,スピン軌道有効磁場がy方向を向き,さらに電子スピンがxz平面内にある場合を描いている.手前から奥に向かって時間発展しており,右側の球の連なりは,各時刻での電子スピンのBloch球表示で,スピン軌道有効磁場の周りに赤い矢印のスピンが歳差運動をしている.左側は,歳差運動からのスピン軌道反作用により,電子波束がy方向に細かく振動する,すなわちZitterbewegungする様子を描いている.詳細は本号に掲載されている中村壮智氏,勝本信吾氏の「最近の研究から」記事を参照のこと.

■巻頭言
基礎科学と社会  西森秀稔 ...... 747

■現代物理のキーワード
近藤効果・ゼロ次元Fermi流体の非線形量子輸送 (Keyword: 非平衡近藤効果)
小栗 章 ...... 750

■解 説
重力波観測による究極理論探査  小玉英雄,吉野裕高 ...... 752
重力逆二乗則の実験検証  村田次郎 ...... 762

■最近の研究から
チャーミングな近藤効果―非アーベル型相互作用による重いクォーク・ハドロンの不純物物理―
安井繁宏 ...... 771
半導体の電気伝導におけるZitterbewegung(ジグザグ運動)  中村壮智,勝本信吾 ...... 776
粘性差が大きい2成分混合系の対流  小林和也,栗田 玲 ...... 782

■JPSJの最近の注目論文から
7月の編集委員会より  上田和夫 ...... 788

■歴史の小径
Z項―木村榮の発見と,その後の物理の探求  大江昌嗣 ...... 790

■新著紹介 ...... 793
新SI単位と電磁気学:安田正美
新しい1キログラムの測り方;科学が進めば単位が変わる:久我隆弘

■学術会議だより ...... 795