日本物理学会誌

第75巻 第7号

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■表紙の説明
表紙は有機磁性体で発現するスピン流生成の概念図.現代社会を支える電子機器のほとんどは,電荷の流れである電流を用いて動作しているが,これをスピンの流れ(スピン流)に置き換えることができれば,ジュール発熱によるエネルギー損失の少ない夢の省エネルギー機器が実現できる.スピン流を作り出す最もポピュラーな方法はスピンホール効果である.これは原子のスピン軌道結合に起因するが,スピン軌道結合は効率よくスピン流を生成できる反面,スピン流の伝搬距離を縮めてしまうという原理的なジレンマを持つ.しかし,この問題を克服しうる新しいスピン流生成現象が,スピン軌道結合をほとんど持たず,スピン流の生成には一見不向きな,水素と炭素からできた有機磁性体の中に隠されている.詳細は本号に掲載されている中惇氏の「最近の研究から」記事を参照のこと.


■巻頭言
物理教育委員長として――より多くの人に物理を身近に感じてもらうために  鈴木 勝 ...... 407

■最近の研究から
新しい氷の結晶構造を計算機で探す  松本正和,矢ケ崎琢磨,平田雅典 ...... 410
有機磁性体でスピン流を作る  中 惇 ...... 416
すばるHSCのコズミックシアによる宇宙論  日影千秋 ...... 422
ホーキング輻射とカオスの新たな関係  森田 健 ...... 427
量子スピン液体相近傍での磁気モーメントの分子内分裂  藤山茂樹,加藤礼三 ...... 433

■実験技術
高エネルギー光子検出用高速シンチレータの材料開発  越水正典 ...... 439

■話 題
J-PARCで新しく始まったニュートリノ反応測定実験  福田 努,木河達也 ...... 445

■JPSJの最近の注目論文から
3月の編集委員会より  宮下精二 ...... 450

■PTEPの最近の注目論文から
2019年12月号より  米谷民明 ...... 452

■ラ・トッカータ:ゼミ本シリーズ  
ゼミ本シリーズを開始します 
Quantum Computation and Quantum Information  都倉康弘 ...... 453

■追 悼
Shoucheng Zhang先生を悼む  村上修一 ...... 455

■新著紹介 ...... 456
高次元共形場理論への招待;3次元臨界Ising模型を解く:立川裕二
超伝導:酒井志朗
スピントロニクス:三輪真嗣