日本物理学会誌

第76巻 第8号

cover-21-07.png

■表紙の説明
19世紀後半から光と磁気,すなわち光とスピンの相互作用の研究は連綿と続いてきた.しかし,物質のスピン軌道相互作用を介することが,この光-スピン相互作用を必然的に弱めてしまう.この微弱な相互作用によるBrillouin散乱を光共振器によって増強しようというのが共振器オプトマグノニクスのアイデアである.表紙の図は共振器オプトマグノニクスを開拓した初期の実験において用いられたイットリウム鉄ガーネットの球を表したものであり,球の中に光共振モード(青地の部分)とマグノンモード(白地の部分)が共存している様子を概念的に表している.詳細は本号に掲載されている長田有登氏の「解説」記事を参照のこと.


■巻頭言
男女共同参画推進委員会委員長として  市川温子 ...... 489

■交 流
脳のシナプスを介さない相互作用によるアナログな調節機構
毛内 拡 ...... 492

■解 説
共振器オプトマグノニクス――実験を中心に  長田有登 ...... 498
非ガウスゆらぎで探る宇宙最高密度の相転移  北沢正清,野中俊宏,江角晋一 ...... 507

■最近の研究から
孤立量子系の粒子数揺らぎに現れる界面粗さスケーリング
藤本和也,濱崎立資,川口由紀 ...... 517
急冷による熱平衡状態の背後に隠された準安定電子状態の生成
大池広志,賀川史敬 ...... 523

■JPSJの最近の注目論文から
4月の編集委員会より  宮下精二 ...... 529

■歴史の小径
量子力学を解釈するとはどういうことだったのか  森田紘平 ...... 532

■学会報告
第76回年次大会(2021年) 招待・企画・チュートリアル講演の報告
領域委員会 ...... 535

■学界ニュース
科学技術分野の文部科学大臣表彰 ...... 544

■新著紹介 ...... 544
Physics and Mathematics of Quantum Many-Body Systems:藤 陽平
物理学者,機械学習を使う;機械学習・深層学習の物理学への応用:吉岡信行