日本物理学会誌

第76巻 第11号

cover-21-11.png■表紙の説明
「超新星爆発に伴うニュートリノの初検出とニュートリノ天文学の創始」,「消えた太陽ニュートリノの謎の解明とニュートリノ有限質量の示唆」,「大気ニュートリノ異常現象の発見とニュートリノ有限質量の示唆」等々,数々の研究成果を挙げたカミオカンデ実験は,"ニュートリノ物理学とは,なにも検出されないことから多くの知見を得る学問である"と言われてきたニュートリノ研究に,新たな境地を拓いた.表紙の図は,3,000トン水チェレンコフ検出器:カミオカンデ実験を立案し,世界最大口径の20インチ光電子増倍管の開発を提唱された小柴昌俊先生が,3,000トン水槽の内壁面に光電子増倍管を取り付ける作業中の一コマ(写真提供:東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設).詳細は本号に掲載されている鈴木厚人氏の「あの研究の誕生秘話 特別編」記事を参照のこと.


■巻頭言
日本発のジャーナルは生き残れるか? その2  野崎光昭 ...... 685

■あの研究の誕生秘話 特別編「小柴先生が追いかけた物理の夢」
はじめに ...... 688
初期の小柴研究室  山田作衛 ...... 690
欧州での実験  武田 廣 ...... 692
大統一理論とカミオカンデ――小柴先生の思い出  菅原寛孝 ...... 694
カミオカンデ発端  渡邊靖志 ...... 696
カミオカンデ立ち上げ  鈴木厚人 ...... 698
カミオカンデとその成果  中畑雅行 ...... 701
小柴さんを偲ぶ  武田 暁 ...... 703

■解 説
天の川銀河中心の巨大ブラックホール候補天体と重力理論の探査
斉田浩見 ...... 705
タンパク質の構造変化をどのように記述するか――生体分子におけるパスサンプリング手法の発展
松永康佑,森次 圭,藤崎弘士 ...... 714

■最近の研究から
陽電子-電子対消滅による固体表面からのイオン脱離
立花隆行,長嶋泰之 ...... 723
ブロック層を利用した多彩なディラック電子系物質の開拓――磁性・極性とのカップリング
酒井英明 ...... 729

■JPSJの最近の注目論文から
7月の編集委員会より  宮下精二 ...... 735

■追 悼
益川敏英さんを偲んで  小林 誠 ...... 738

■新著紹介 ...... 739
数学のための英語教本;読むことから始めよう:妹尾仁嗣
動かして理解する第一原理電子状態計算;DFTパッケージによるチュートリアル:永井佑紀
わかりやすい放射線物理学(改訂3版):石井邦和