第78巻 第7号
■表紙の説明
表紙の図は,シミュレーションにより得られたホルムアルデヒド分子のローミング過程における分子構造の時間変化と各分子構造において3体クーロン爆発によって生成する断片イオンの運動量ベクトルを示したものである.白球は水素,黒球は炭素,赤球は酸素の各原子を,青波はローミング反応を誘起するポンプパルス,赤波はクーロン爆発を誘起するプローブパルスを表す.ローミング過程では一度離れた水素原子(図中央上側)が再び戻ってきて他の水素原子と結合を形成し,水素分子と一酸化炭素分子へと解離が進行する.クーロン爆発によって生成する断片イオンが飛び出す向きと速さはプローブパルスが照射された瞬間の分子構造を強く反映するため,時事刻々と変化する分子の姿が運動量ベクトルの変化として可視化される.詳細は本号に掲載されている遠藤友随氏の「最近の研究から」記事を参照のこと.
■巻頭言
コロナによってもたらされたもの 安居院あかね ...... 387
■交 流
非線形力学系としての身体 工藤和俊,岡野真裕,紅林亘 ...... 390
■最近の研究から
クォーク・レプトンのフレーバーをモジュラー対称性で探る
岡田寛,清水勇介,谷本盛光 ...... 399
円偏光で誘起するトポロジカル超伝導の理論――非平衡での強相関効果
北村想太,青木秀夫 ...... 404
ローミング反応における分子構造変形の時間分解イメージング 遠藤友随 ...... 410
■ラ・トッカータ
物理学を活かす仕事 中村賢 ...... 415
■JPSJの最近の注目論文から
最近出版された招待論文から 宮下精二 ...... 417
■PTEPの最近の注目論文から 林青司 ...... 419
■学会報告
2023年春季大会 シンポジウムの報告 領域委員会 ...... 422
■学界ニュース
科学技術分野の文部科学大臣表彰 ...... 429
■新著紹介
Particle Confinement in Penning Traps; An Introduction 齋藤晴彦 ...... 430