第78巻 第12号
■表紙の説明
表紙の図は,構造量子臨界物質Ba1-x Srx Al2O4の温度-組成相図と,構造量子臨界点より高Sr濃度の組成での結晶構造モデルを表す.相図中のガイド線は,データ点を結んだものである.結晶構造モデルでは,白がO,水色がAl,緑がBa/Srの原子位置をそれぞれ表し,強い構造ゆらぎのため,元のサイトから対称性が低下した席に原子が部分占有したsplit-atom modelを,O原子に対して適用している.Ba/Sr原子にもsplit atomが適用されるが,変位が小さいためここでは省略している.PDF解析や中性子非弾性散乱の結果に基づくと,構造量子臨界点より高Sr濃度の組成では,Ba原子位置は平均構造と一致するが,O原子は中途半端な位置をランダムに占有していると考えられる.詳細は本号に掲載されている石井悠衣氏,森茂生氏の「最近の研究から」記事を参照のこと.
■巻頭言
教育誌『大学の物理教育』の編集委員長に就任して 中村仁 ...... 687
■最近のトピックス
パルサー観測がつかんだ背景重力波の証拠 高橋慶太郎 ...... 690
■解 説
三体問題今昔 浅田秀樹 ...... 692
■最近の研究から
ガラス状ネットワークは結晶の周期性と共存できるか?
石井悠衣,森茂生 ...... 700
コバルト置換ビスマスフェライト薄膜における電場印加磁化反転
重松圭,清水啓佑,北條元,東正樹 ...... 706
■歴史の小径
ド・ブロイ城のX線実験室と物質波 小島智恵子 ...... 711
■ラ・トッカータ
『素粒子論研究』75周年――ノーベル賞講演翻訳など
小沼通二,森田健 ...... 715
■JPSJの最近の注目論文から
最近出版された特集企画から 宮下精二 ...... 718
■PTEPの最近の注目論文から 林青司 ...... 719
■新著紹介
高圧下水素化物の室温超伝導 栁瀬陽一 ...... 721
2次元超伝導;表面界面と原子層を舞台として 板橋勇輝 ...... 721