第79巻 第6号
■表紙の説明
表紙の図は,文部科学省の「学校基本調査」に基づき,2022年の日本の大学の学生(学部・修士・博士)および教員(助教・講師・准教授・教授・副学長・学長)の各段階のジェンダーバランスを示したグラフである.大学への入口から学長まで全段階で男性比率が高く,講師以降は職位が上がるほど女性比率が顕著に下がる.欧米の大学では,学部から博士課程への入口段階までは女性比率が高く,博士課程修了時に男女比が逆転することから,「ハサミ」のような形状の折れ線グラフになるが,日本の場合は「ワニの口」のようである.欧米では,大学におけるジェンダーバランス改善のために教員に占める女性割合を上昇させることが課題となるが,日本の場合はそれに加え,学生段階のジェンダーギャップ解消も重要課題であることがわかる.そのため,大学入学前の教育のあり方に着目することが肝要である.詳細は本号に掲載されている河野銀子氏の「話題」記事を参照のこと.
■巻頭言
物理コミュニティの裾野へ 石原安野 ...... 269
■解 説
CuFeO2――フラストレーションが生み出す多彩な磁性と交差相関
寺田典樹,中島多朗 ...... 272
■最近の研究から
ヘテロエピタキシーによるコロイド結晶成長 野澤 純 ...... 280
エンタングルメントの面積則とエニオンの数理 加藤晃太郎 ...... 286
振動子ネットワークの部分同期検出のための擬渦模型 山田康博,稲葉謙介 ...... 292
電磁場に影響されない遷移を用いた対称性の破れの探索 高橋唯基 ...... 298
■話 題
大学におけるジェンダーバランス改善に向けて
――女子の大学進学実態と理系進路選択支援事業の現状から 河野銀子 ...... 303
■JPSJの最近の注目論文から
2月の編集委員会より 宮下精二 ...... 307
■PTEPの最近の注目論文から 林 青司 ...... 311
■追 悼
潮田資勝先生を偲んで 上原洋一,水谷五郎 ...... 313
■新著紹介
格子振動と構造相転移 塩見雄毅 ...... 314
分子動力学法と原子間ポテンシャル 國貞雄治 ...... 314