日本物理学会誌

第80巻 第6号

cover-25-06.jpg■表紙の説明
表紙の図は,赤外レーザーによって光格子を形成するためのレンズ対と,実際に光格子に捕捉されているシリカナノ粒子の写真である.観察のために照射している緑色のレーザーにより,ナノ粒子は緑色に光っている.単一ナノ粒子の運動を光学的に観測し,その位置をフィードバック制御することで,光ポテンシャルの量子基底状態へと冷却することが可能である.この際,写真のような高い開口数のレンズを使ってレーザーを集光することが本質的に重要である.ナノ粒子から散乱された光は,このレンズによって回収され,ナノ粒子の高精度な位置観測に利用される.この観測信号をレーザーの位相に対してフィードバックすることで,ナノ粒子の運動を量子基底状態付近へと冷却する.詳細は本号に掲載されている相川清隆氏の「最近の研究から」記事を参照のこと.


■巻頭言
物理教育とアウトリーチ活動  髙須雄一 ...... 281

■解 説
スピンカロリトロニクス――発展の歴史から将来展望まで  内田健一 ...... 284

■最近の研究から
ナノスケール結晶における動的平衡と多形選択  中室貴幸,榊原雅也,中村栄一 ...... 294
LHC-ATLAS実験での世界最高エネルギーを用いたベル不等式の検証可能性について
田窪洋介,筒井 泉,長野邦浩 ...... 299
単一浮揚ナノ粒子における全機械的自由度のフィードバック冷却  相川清隆 ...... 305

■話 題
MeVガンマ線観測衛星COSI  高橋忠幸,松本重貴,Tom Melia,中澤知洋 ...... 311

■学会の歩み150年 Part 1 通史記事
日本物理学会の誕生:1945-1950
物理学史資料委員会 学会150年史連載編集グループ ...... 315

■ラ・トッカータ
博士卒,就職活動シリーズ:東京大学宇宙線研究所URAの仕事について  倉知昌史 ...... 316

■JPSJの最近の注目論文から
2月の編集委員会より  播磨尚朝 ...... 319

■新著紹介
量子アニーリングの物理  大関真之 ...... 323