アインシュタインが100年前に予言した重力波が直接観測されました。
公開日:2016年2月16日
ニュースでも報じられたように,アインシュタインが100年前に予言した重力波が観測され,Physical Review Lettersに発表されました。重力波は非常に微弱なため,これまで直接的には観測はできませんでした。今回,レーザー波の干渉を用いた観測機器の精度を上げ,13億光年のかなたで起こったブラックホールの合体による重力波を,アメリカを中心とした研究グループが観測しました。日本でもKAGRAという実験施設で,重力波の観測に向けて準備が整いつつあります。
より詳しく知りたい方は,以下をお読みください。また,日本物理学会誌では,本発見に関する記事を,最近のトピックスとして掲載する予定です。
より詳しい解説(京都大学理学研究科 中村卓史):
aLIGO(Advanced Laser Interferometer Gravitational wave Observatory)による重力波の初の直接検出。
2015年9月14日に,本格的なO1(Operation 1)に入る前のエンジニアリングrun中に質量が
36+5-4Msunと29+4-4Msunからなる連星ブラックホール(BH)の合体時の重力波をSNR=24で検出する事に成功したと発表した。合体後のBHの質量は62+4-4Msunで,BHのspinパラメターは0.7程度と見積もられている。詳細は
1) http://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.116.061102
2) http://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8205/818/2/L22 に詳しい。特に後者では"then recently predicted BBH total masses agree astonishingly well with GW150914 and can have sufficiently long merger times to occur in the nearby universe (Kinugawa et al. 2014)"と述べられおり,宇宙で最初に出来た金属のない種族III星起源の可能性が指摘されている。一つの注意点としては前者のFig.1の一番上の波形は生データではなく本文とfigure captionにあるような方法で処理して得られたものである。