日本物理学会 2025-2027年記念事業
2024年9月 日本物理学会第80期理事会
2024年6月7日、国連総会は量子物理学誕生100周年を記念して、2025年をユネスコの「国際量子科学技術年」として決議し宣言しました。1925年のW. ハイゼンベルク、M. ボルン、P. ヨルダンによる行列力学の構築から始まった量子物理学100年の歴史を振り返れば、原子や素粒子のミクロの世界から宇宙までのマクロの世界の解明に大きく貢献しただけでなく、スマホを実現させた半導体、ロボットやモータでの強磁性体、リニアモーターカーを支える超伝導体、さらには最近研究が進んでいる量子コンピュータなど現代の情報化社会を支える技術として発展しました。そのような量子物理学の重要な役割を認識すると同時に、核兵器に代表される別な側面も忘れてはならないでしょう。次の100年の世界も量子物理学が基盤となって発展し続けることは間違いありません。「Quantum2025 - 100年は始まりに過ぎない...」をテーマに、世界各国でさまざまなイベントや活動が行われます。
また、1877年(明治10年)に、数学者と物理学者が共同して「東京数学会社」を創立し、後にそれが「東京数学物理学会」として改組拡充されたのが本会の源流です(1919年に日本数学物理学会と改称)。したがって2027年は、それから数えて150周年となります。また、終戦直後の1946年(昭和21年)、日本数学物理学会から日本数学会と日本物理学会が分かれて再出発しました。それから数えて2026年は80周年となります。
以上のように、2025年、2026年、2027年は、日本物理学会にとって記念すべき3年となります。そのため、理事会では記念事業臨時委員会を設立して、この3年を通してさまざまな事業を行い、物理学の発展を期するだけでなく、物理学と社会との関わりを深化させる活動を行うことを計画しました。
予定している活動は以下の通りです。企業からの協賛やクラウドファンディング等を利用して、会員の皆様だけでなく広く社会から支援を受けながら事業を進めて参りたいと考えています。
1. 「物理を文化として」
・量子物理学をイメージした音楽と映像に浸るイベントの企画
・「物理かるた」や物理関連グッズの企画
・「物理の日」の制定と広報
2. 「物理を若者や市民に」
・博物館での量子物理学に関連する展示の企画
・科学雑誌での量子物理学特集号の企画
・「物理壁新聞」の発行と全国の高校への配付
・「物理クイズ」の企画と「物理検定試験」への模索
・ドイツ物理学会と共同で「平和宣言」を発出
3. 「歴史に学ぶ」
・「物理遺産」の制定
・会誌等での歴史関連記事の連載とその書籍化
4. 「フロンティアの拡張」
・本会主催国際会議の開催
・世界に向けた英文物理学教科書の出版
・オンライン物理用語辞典の製作
これらの様々な事業の広報のため、インフルエンサーに「物理アンバサダー」として協力していただくことも計画しています。
以上